10年後の新作~ゴーカイジャーとオーズ~
2011年。震災で傷つき悲しみに沈んだ年ですが、テレビ作品から元気を貰える良作品が多かった年でもあると思います。その中でも『海賊戦隊ゴーカイジャー』『仮面ライダーOOO/オーズ』の2作品は自分の中でも特別で、今でも大好きな作品です。根強いファンが多いことでも有名なこの2作品が、10周年ということで2021~2022年にかけて完全な新作をVシネという形で公開したのですが・・・というお話をしたいと思います。(ネタバレあり)

『海賊戦隊ゴーカイジャー』
スーパー戦隊シリーズ第35作目を記念した作品で、前作までの戦隊ヒーローに変身できる能力を持ちます。
ゴーカイジャーは宇宙海賊で、地球には「宇宙最大のお宝」を求めてやってきただけで、地球自体には何の思いもありません。敵となるザンギャックの地球侵略の攻撃に巻き込まれ、「気に入らない」という理由だけで反撃します。その後もヒーローらしく地球を守るということはなく、基本的には「地球なんてどうでもいい」というスタンス(実はツンデレ的なもの)なのですが、歴代ヒーローと出会いその思いを受け止め、徐々にヒーローとして成長していく話です。
歴代ヒーロー(オリジナルキャスト)が多数出演してくれて、その点も非常に盛り上がった作品なのですが、ゴーカイジャー単体としてのエピソードもとても面白く、6人のキャラクターの魅力を存分に描いています。それぞれの戦闘スタイルもキャラクターごとに特徴的でカッコイイ!
私の一押しはキャプテン・マーベラス(ゴーカイレッド)!! ふてぶてしく、強く、絶対的なカリスマ船長!! 他のメンバーもマーベラスを心底慕っているのが微笑ましい。敵はザンギャック軍の他にマーベラスの宿敵バスコもいて、それぞれに熱い戦いが待っています。
最終的には地球の危機を救い、ゴーカイジャーは新たなお宝を探しに再び宇宙に旅に出ました。
10年後の新作『テン・ゴーカイジャー』
その後も他の戦隊作品にゲストとして登場することは何度かありましたが、満を持して2021年に10周年記念の完全新作『テン・ゴーカイジャー』が公開。売れっ子になってしまった山田裕貴と市道真央(声優のM・A・O)を出演させることが可能なのか? と制作発表当初は心配されましたが、見事オリジナルの6人のゴーカイジャーが揃い、しかも顔見せ程度の出演ではなくきちんとメンバーの一員として活躍してくれました。
予告では「10年の月日が奴らを変えた・・・」「変わっちまったなぁ! テメエもこの星の奴らも!!」「解散した宇宙海賊」などと、ゴーカイジャーがバラバラになる不穏な空気を全面に押し出し、(あのゴーカイジャーがどうなったの?!)と不安感たっぷりで映画の前半も進みます。が、終盤にかけていつもの不遜で強いゴーカイジャーの展開になり、見事に敵を撃破して再び全員で旅立つ・・・というエンディングです。
Vシネは60分・予算も少ないらしい、ということで戦隊につきものの巨大ロボ戦はなかったのですが、時間が短い中で生身でも変身した姿でも充分戦闘シーン(他のヒーローへの変身は少なめでしたが、ゴーカイジャー以降の作品に変身した)があり、役者陣も10年のブランクを感じさせないそれぞれの役の空気感を見事にまとっていて、「これぞゴーカイジャー!!」という非常に満足度の高い作品でした。
『仮面ライダーOOO/オーズ』
目の前にいた少女を助けられなかった無力感からどこか乾いている主人公・映司が、敵となるメダルの怪人グリードと同じグリードであるアンクと出会い、人々を救おうと仮面ライダーオーズに変身します。
お互いの利害のために手を組む映司とアンクは、隙あらばお互いをいいように利用しようという関係ですが、それでいて奇妙な信頼感があるところが一筋縄ではいかない面白いところです。重要アイテムであるコアメダル(タイトルのOOOは、3枚のメダルを使用してオーズが変身することも表している)をグリードとオーズで取り合う展開がメインです。
ヒロイン比奈の兄の体(瀕死の重傷)に右腕だけだったアンクが憑依しているため、完全な体が欲しいアンクと兄を返して欲しい比奈とのせめぎあいがあったり、アンクを利用しつつも冷徹に「敵対することも辞さない」覚悟の映司だったり、人間関係の複雑さも見どころです。
この作品は「欲望」をテーマにしていて、怪人側は人間の欲望を核に怪物を産み出していきますが、作品としては「欲望」自体を否定することは無く、むしろ「明日へと進むことすら欲望である」と前向きに肯定していて、震災後の喪失感多い日本人に希望を与えてくれたと思います。
メダルの塊でしかなかった自分が欲していた「命」を、その死の間際に手に入れていたことに気付いて満足し、アンクは消滅していきます。映司は自分が持っていた強大な欲望(誰でも助けられるくらい、世界のどこまでも届く手が欲しい)が、他の人との絆で無限に広がっていくことに気付きます。アンクの割れたメダルを手に、(いつかまた会えたら・・・)と思いながら世界を放浪します。
オーズ本編以降の映画
重要作品としては2作品あります。
まずは『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX』。
アンクが復活する方法を探しながら世界をめぐっている映司の目の前に、死んだはずのアンクが現れます。昔のように共闘しますが、現れたアンクは実は未来の世界から来たことが判明し、再び元の世界に戻ることで二人は再び別れます。しかし、「いつかの明日にもう一度アンクに会えるんだ!」という希望が生まれます。
次に『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』。
この作品の敵に、偽物としてのアンクが復活させられてしまいます。偽物とわかっていても本気で戦うことができない映司は窮地に追い込まれますが、奇跡が起こって偽物の中に本物のアンクの魂が宿ります。戦闘が終わった後、やはりアンクは復活せずに消えてしまい、「いつかの明日は、今日じゃなかったんだ・・・」というほろ苦い結末を迎えます。
この2作品の流れがあったために、「アンクと再会できる『いつかの明日』が見たい!」というファンの要望はかなりあったはずです。
『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』
そして2022年に公開されたオリジナルキャスト集結の『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』。予告では映司の「おかえり、アンク」というセリフがあります。
アンクが謎の復活を果たすところから物語は始まりますが、世界は崩壊寸前で・・・という幕開け。結果的には賛否両論の作品になりました。否定派がもの凄い勢いで怒りを表明しています。まだ絶賛上映中なので詳しくはネタバレしませんが、「本編での結論を台無しにした」という感じです。私も同感です。
晴れ晴れとした希望を持った終わりを迎えた作品を、10年後に「本気の完結編」と謳った作品でこんなにめちゃくちゃなバッドエンドにしていいものなのか? と思います。60分&予算が少ないという制約のなかで、舞台設定が「世界崩壊寸前」という無茶をしたのがダメだったのじゃないか、とか色々考えてしまいます。映司とアンクの再会を見たくて劇場に行ったファンに対して、変化球投げすぎでしょう。
そもそも右腕しかないアンクの復活というのは、「ボディをどうする?」という問題がどうしても出てきてしまう(ファンは人間体での復活を望むだろうけど、比奈の兄にまた取りついていいのか?という疑問をはらんでいる。今作ではあっさりと兄に憑依して、それに関して何も言及がないのもちょっと雑だと感じた)ので難しく、『平ジェネ』で偽物を使っての一時的復活をしてしまったのが今になって思えば余計の事だったのではないかとすら感じます。さすがに同じ方法を使う訳にもいかないでしょうから。
ゴーカイジャーのように「昔のファンが見て満足する、昔通りの作品を提供する!」という目標よりは、オーズは「ファンの度肝を抜くオリジナリティを追求したい!」という制作側の自己満足が勝ってしまったのかな?
オーズの役者陣が今回の台本を貰った時に「ストーリーに納得できない」と言ってたそう。映司アンク含め、オリジナルキャストは10年前と変わらずのカッコイイ姿・演技を見せてくれただけに、役者にも、このストーリーが受け入れられなかったファンにも不幸な作品になってしまって残念です。
ついでに『TIGER & BUNNY』
本題からはそれますが、同じ2011年作品であるアニメ『TIGER & BUNNY』が2022年に続編放送されます。これまた大好きな作品だったので素直に嬉しいです。
他にも『魔法少女まどか☆マギカ』も2011年作品なんですよね。この年は本当にいい作品多かったと思います。